同一労働同一賃金が、2020年に施行されます。
しかし、未だに同一労働同一賃金についてわからないことが多く、どうすればいいのかわからない人は多いのではないでしょうか。
ここでは、そんな同一労働同一賃金について、よくある不明点をQ&A方式で簡潔にお話します。
同一労働同一賃金とはなにか
はじめに根本的な問題として、同一労働同一賃金についておさらいしましょう。
同一労働同一賃金とは、同一の労働をしているのであれば、賃金も同一であるという考え方です。
これは、雇用形態の違いによって、不当に発生した給与格差の改善のために考案された施策です。
例えば同じ仕事をしているのに、正社員だと10万円もらえてアルバイトだと7万円といった給料格差が、同一労働同一賃金によってどちらも等しい給料になります。
このように雇用形態や人種、性別、年齢など、様々な格差要素に関係なく支払う金額格差をなくそうとしている制度が、同一労働同一賃金です。
なお、同一労働同一賃金は2020年4月に開始予定ですが、資本金額三億円以下、労働者数300人以下の中小企業の場合、適用されるのは2021年になります。
ボーナスについて
同一労働同一賃金の場合、賞与、つまりボーナスはどうなるのかというと、こちらも非正規雇用だったとしても、支給条件を満たしていれば同一の手当を支給する義務が生まれます。
しかし、注意点としてあくまで同じ条件だったらの話であり、正規雇用者と非正規雇用者の給与決定基準が異なるといった場合、同一労働同一賃金の適用対象外になります。
厚生労働省のガイドラインによれば、同じ仕事をしていても生産効率や成果の目標に対して責任がある場合とない場合では、それぞれの条件が異なるとされ、後者にボーナスの支払いは発生しません。
同一労働同一賃金前にしなければならないことはあるのか
同一労働同一賃金施行前にすべきことは、労働者の雇用形態や待遇の確認です。
正規雇用者と非正規雇用者の仕事内容や責任の所在の確認、及び給与などの待遇が正当なものかどうかの確認など、不合理なものがないかどうかのチェックをします。
ここでいう不合理なものとは、例えば非正規雇用者は「社員食堂を使ってはいけない」「エレベーターの使用を禁ずる」といった、生産性や効率に何ら影響のないものが挙げられます。
この時点で問題がなければ、同一労働同一賃金の施行で会社がしなければならない対策は特にありません。
しかし、問題がある場合は早急に問題の洗い出しや改善を行なう必要があります。
会社規定の見直しや、規定変更後に同一労働同一賃金のガイドラインに抵触していないかの確認は必須です。
また、それに伴い正規・非正規問わず規定の変更を説明する責任が生じます。
なぜなら、説明なしに規定の変更を行うと労働者感との連絡に行き違いが生じ、不満のもととなるからです。
よって、なぜ規定が変わるのかといったことを説明しなければならないのです。
罰則はあるのか
結論からいえば、ありません。
実は同一労働同一賃金に違反しているからといっても、法によって罰されるということは現状ありません。
しかし、あくまでも「現状は」ということであり、将来的に罰則が発生する恐れがあります。
また、不当な待遇を重ねることで企業としての評判や労働者がわからしても不満がたまり、モチベーションの悪化が業績に響く可能性は極めて高いです。
もし、同一労働同一賃金施行前に問題が発覚したのであれば、同一労働同一賃金施行前に対策をしましょう。